2009年10月

上野ダム(群馬県)と南相木ダム(長野県)

上野ダムは群馬県上野村にある発電専用ダムである。
南相木ダムは長野県南相木村にある発電専用ダムである。

この上野ダムと南相木ダムは二つのダムで一つの目的を果たすというダムとなっている。

その目的とは、水力発電(東京電力・神流川発電所)にある。
電力需要の多い時間帯に、上部ダムにあたる南相木ダムから二つのダムの間にある神通川発電所を介して、下部ダムにあたる上野ダムへ水を送り出すことで電力を生み出すという揚水発電をおこなっている。
※電力需要の少ない時間帯には下部から上部へ水を戻しておく。

結果、現在は全て完成しているわけではないので、47万キロワットの発電量に留まっているものの、発電施設が計画通りに整備されると最大出力282万キロワットの電力を生み出すことができるようになるらしい。そしてこの数字は揚水式発電所の出力としては世界最大になるようだ。

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上野村(群馬県)の基本情報:合併,駅,番地etc
南牧村(長野県)の基本情報:合併,駅,番地etc

建設中止予定の戸草ダム

戸草ダムは長野県伊那市における天竜川水系の三峰川に建設が予定されていたダムである。

洪水調整や水力発電の目的で作られた巨大ダム計画ではあったが、近年は必要性の低さから中止の意見が多発している。

・2001年の長野県知事田中康夫の脱ダム宣言
・2005年の第一次小泉内閣の公共事業見直しの方針
・2008年の国土交通省による中止
・2009年の民主党内閣の方針

むろん脱ダム宣言時点から伊那市の一部地元住民などの間では建設推進すべきという意見も根強いのも事実ではあるが、10年もの長きに渡る流れとしては、ダム建設は中止となっていると言っても間違いあるまい。
よって本件については、民主党政権によるダム建設中止事業としては間違っていない部類と言えそうだ。たとえダム建設に代わる洪水対策がないとしても完全に自民党政権の責任だと言い張れる事案であろう。(田中康夫長野県知事時代に代替洪水対策措置がなかったのも事実だが)


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伊那市(長野県)の基本情報:合併,駅,番地etc

伊賀の川上ダム(民主党凍結予定ダム)

川上ダムは三重県伊賀市の淀川水系木津川において建設中のダムである。

不特定利水や洪水調整などの多目的ダムであり、2004年に完成予定だったが、地元との調整がうまくいっていないなどの問題を抱えており現在も本体着工には至っていない。

推進派
・一部地元住民、三重県、伊賀市、中井洽(民主党小選挙区代議士)、川崎二郎(自民党の比例復活代議士)
※議員の意見については中日新聞記事より

中止派
・一部地元住民、奈良県、民主党前原国交大臣
※奈良県撤退については、47NEWS記事より


このように地元住民の間はもちろんのこと、地方自治体をとってみても奈良県が撤退を表明したように、また民主党にとっても地元議員が賛成、政府が反対するなど賛成反対が対立している状態になっている。

結局のところ必要な点と不必要な点は両方ともに存在するわけである。

推進派は転ばぬ先の杖を用意するためというだろう。中止派はそれはムダが多すぎる過剰な備えだというのだろう。

推進派の優位な点は渇水や集中豪雨などの問題発生時の責任問題が起こりにくいことであり、逆に中止派は問題発生時の責任が極めてクローズアップされてしまうという欠点がある。
ただこの中止派の欠点は政府主導で行うことで責任の所在を明確にすることで一部回避しているとも言えるだろう。
そのための何らかの案を政府は出す必要性がある。推進派の地元に丸投げで中止だけ要請するのではあまりにも無責任と取られても仕方あるまい。

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伊賀市(三重県)の基本情報:合併,駅,番地etc…川上ダム建設地は旧青山町領域となっている。

足羽川ダム(民主党政権の建設凍結候補のダム)

足羽川ダムは福井県池田町の九頭竜川水系部子川に建設が予定されているダムである。

洪水調整を目的とするダムであり、2004年の福井県集中豪雨による洪水被害を教訓として建設される見込みとなっていた。
(1983年着工だったが、1997年の公共事業見直しで一端凍結され、その後2004年の福井県を襲った集中豪雨で
他の洪水調整ダムがある地域は被害ゼロだったにもかかわらず、本地域では洪水被害が発生したことを受けて、2006年地元の意向から建設が再開されることになった経緯がある)


民主党政権において、本ダム建設を中止する発表を受けて、当然のように2006年に建設容認した地元の人たちも困惑している模様。参照新聞記事を挙げておく。

朝日新聞
http://mytown.asahi.com/fukui/news.php?k_id=19000000910100003

中日新聞
http://www.chunichi.co.jp/article/fukui/20091010/CK2009101002000021.html


本ダムについては、地元においても従来より日本共産党を中心として建設中止を求めていたようで、実際に1997年に建設が中止されているのだが、その後の経緯(先述の大洪水被害)からして、結局2006年には地元住民の理解も得られたという形になって建設再開の流れになっている。自分達の地域が大きな水害を受ける中、他地域においては建設済の洪水対策用のダムのおかげで被害ゼロという、洪水調整ダムの威力を目の当たりにすれば、仕方がないとしか言えまい。

しかし民主党は勇み足にも、調査も何もせずにダム建設凍結を名指して行うものだから、地元が混乱しているのだろう。民主主義国家なのだから、やはりここは地元における必要性と理解度を調査して、少なくとも2004年の集中豪雨レベルの災害を防止するための何らかの代替案を出す必要性があるだろう。

実際、地元民からしても無駄な事業は数多あるはずである。あまりに大きな事業の場合は、実際に市長選などで現職が敗北するのはよくある話だ。
無駄を排除を標榜する民主党には、まずそのような事業を中止していくべきであると言わねばなるまい。直近の地元の理解が得られているような事業を、中央からの唐突なトップダウンで早急に取り消すようなやり方は決して正しいとは言えまい。


<関連リンク>
足羽川ダム工事事務所
池田町(福井県)の自然環境情報:面積,可住地,公園etc

大分川ダム(民主党政権下の建設中止ダム候補の一つ)

大分川ダムは、大分県大分市大字下原地先の大分川水系の七瀬川に建設中のダムである。

堤高:85.5m
堤頂長:515.2 m
堤体積:4,160,000立方メートル
総貯水量:27,500,000立方メートル

元来より大分川流域では洪水被害が多発しており、その防止の期待を込めて建設されているという経緯がある。

また大分都市圏の都市用水確保というのが大きなものと言える。大分都市圏が九州最大規模の工業密集地帯となっていることもあり、その工業用水としての働きも期待されている。
他にも農業用の灌漑用水、水力発電用という役割もある。



ただ大分新聞記事(
http://www.oita-press.co.jp/localNews/2009_125506644918.html)などによると、民主党政権の前原国土交通大臣により、2009年度中の新規契約はせず、加えて2010年度予算が付くかどうかは予断を許さない状況となっているとのことだ。

1978年着工で、2017年完成予定という時点で必要性や当初の目的とのズレが生じるというのも事実だが、それでもまず現時点におけるダム建設の目的と必要性が本当にあるかどうかを検証してから、事業を継続するか、中止するかどうかを決めるべきであるとは思うのだが、この先どうなっていくのか?


<関連リンク>
大分川ダム(大分川工事事務所による公式サイト)
大分市の基本情報
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